8.1Windows NTのタイポグラフィ
タイプフェイスとは、共通の特性(ストローク幅やセリフの有無)を共有する文字のグループのことです。たとえば、ArialやCourierはどちらもタイプフェイスです。タイプフェイスおよびその名称は、タイプフェイスのデザイナーや製造元がその著作権を所有し商標登録しています。
Windows NTではフォントとはタイプフェイスの名称のことであり、ボールドやイタリックなどの属性は含まれません。フォントは従来のタイポグラフィよりも一般に普及している定義です。たとえば、MS SerifはWindows NTではフォントになります。
Windows NTでは、類似した特性を備えたタイプフェイスのグループのことをフォントファミリーと呼びます。フォントをインストールする際やマッピングする際にWindows NTが認識するファミリーには、Roman、Swiss、Modern、Script、Decorativeなどがあります。たとえば、サンセリフのタイプフェイスであるArial、Arial Bold、Arial Bold Italic、Arial Italic、Small Fonts、MS Sans Serifなどは、すべてSwissというフォントファミリーに属しています。
ラスタフォントやベクタフォントはコンピュータシステムでの印刷や表示のために、ASCII、ANSI、OEM標準、またはほかの業界標準(特定のキーストロークやキーストロークの組み合わせによって文字が表現される)に準拠した独自の文字セットを持っています。Windows NTに含まれるTrueTypeフォントのほとんどは、文字セットを複数個サポートしています。ラスタフォント、ベクタフォント、およびTrueTypeフォントの詳細についてはこの章の「8.2 Windows NTのフォントについて」を参照してください。
Windows NTでは、アプリケーション内でフォントの外観を定義するために、次の基本用語を使用しています。
フォントスタイル。フォントの特性を指す。Windows NTでフォントに対して定義できる4つの特性として、イタリック、ボールド、ボールドイタリック、Roman(Romanは、フォント関連のダイアログボックスで、標準またはレギュラーと表示される場合もある)がある。
フォントサイズ。フォントの縦方向のポイントサイズ(1ポイントは、約1/72インチ)を指す。一般にテキストには10ポイントか12ポイントのサイズを使用する。
フォント効果。多くのアプリケーションでテキストに適用できる下線、取り消し線、色などの属性を指す。
フォントおよびタイプフェイスについて説明では、次の用語も使用します。
間隔。固定とプロポーショナルの2種類がある。Courierなどの固定幅フォントは、タイプライタでタイプした文字のように各文字の横幅が同じである。ArialやTimes New Romanのようなプロポーショナルフォントでは、文字によって横幅が変化する。
ピッチ。固定幅フォントの各文字間に適用する水平方向のスペース幅を指す。多くの場合この値は、CPI(1インチ当たりの文字数)で指定する。10ピッチは12ポイント、12ピッチは10ポイント、15ピッチは8ポイントに相当する。ただしほかの単位を使用するフォントもある。
セリフとサンセリフ。タイプフェイスの特性を指す。Times New RomanやCourierなどのセリフフォントには、文字の一画一画にセリフ(はね)がある。ArialやMS Sans Serifなどのサンセリフフォントにはセリフがない。
スラント。フォントの文字の傾斜角度を指す。イタリックとRoman(傾斜なし)に指定できる。
ウェイト。フォントのストローク(線)の太さを指す。Light、Regular、Book、Demi、Bold、Heavy、Black、Extra Boldなどがある。
幅。標準タイプフェイスより水平方向に伸びている、または圧縮されているかを指す。一般には、Condensed、Normal、Expandedなどがある。
Xハイト。小文字の"a"や"c"などの場合垂直方向の高さを指し、"h"や"k"などの場合下半分の垂直方向の高さを指す。