DNSマネージャはグラフィカルユーザーインターフェイスで、Windows NT Serverを実行するコンピュータ上にMicrosoft DNSサーバーをインストールすると、自動的にインストールされて[プログラム]メニューの[管理ツール(共通)]に追加されます。DNSマネージャを使うとローカルまたはリモートのDNSサーバーとデータベースファイルを管理することができます。
注 DNSマネージャは、マイクロソフト製品ではないDNSサーバーの管理には使えないことに留意してください。
DNSマネージャには、DNSサーバーを追加し構成するためのメニューとオプションが提供されます。また、各DNSサーバーによって管理されるゾーンとサブゾーンを作成するためのゾーンウィザードが提供されます。DNSサーバーとそれに付随するゾーンの作成が終了すると、ローカルまたはリモートのDNSサーバーを管理できるようになり、各ゾーンとDNSサーバーのデータベースを構成するDNS資源レコードの追加、参照、編集などの作業ができるようになります。
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以降の節では、DNSサーバーを使うのに必要となる基本的な機能を解説します。機能の完全なリストと詳細な操作方法については、DNSマネージャのヘルプを参照してください。
ヒント DNSマネージャを使ってDNSサーバーとゾーンのデータを変更する場合は、メニューバーの[DNS]をクリックし、次に[サーバーデータファイルの更新]をクリックすると、変更された情報をすぐにDNSデータベースに書き込むことができます。
DNSサーバーを実行しているローカルコンピュータから管理するローカルまたはリモートのMicrosoft DNSサーバーを追加するには、DNSマネージャを使います。
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新しいサーバーが作成されると、DNSマネージャは自動的に新しいアイコンを表示して、次に説明するゾーンを作成します。
サーバーの追加作業が終了すると、そのサーバーに対する諸構成とそのサーバーが管理する1つ以上のゾーンを作成することができます。
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DNSマネージャによってサーバーの追加と構成が終了すると、そのサーバーが管理する1つ以上のゾーンを作成します。DNSとNetBIOSによる名前解決を併用する場合には、WINSを使うコンピュータグループごとにゾーンを作ってください。ゾーンを作成する前に、DNSサーバーに対してTCP/IPの構成が正しく行われたことと、[Microsoft TCP/IPのプロパティ]ページのDNSタブをクリックしてDNSサーバーのホスト名とドメイン名が入力済みであることを確認してください。
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ヒント 逆引き参照ゾーンを作成する場合も、これと同じ手順を使います。この場合は逆引き参照名形式(nnn.nnn.nnn.in-addr.arpa)に従ったゾーン名を指定します。たとえば、IPアドレス172.16.16.1から172.16.224.254までのPTRレコードを含む逆引き参照ゾーンは.16.172.in-addr.arpaという名前になります。できるだけ、ホストデータの追加を行う前に逆引き参照ゾーンを作成します。これによって、[新しいホスト]ダイアログボックスの[関連付けられたPTRレコードを作成する]オプションでデータを自動作成できます。
プライマリゾーンの作成後、セカンダリゾーンも同様の手順で作成できます。
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ゾーンの作成が終了後、次に説明する手順に従ってそのゾーンをさらに細分することができます。
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ゾーンの追加後、ゾーンプロパティを構成し、変更します。そのゾーンのアイコンを選択して右クリックし、[ゾーンのプロパティ]ダイアログボックスを開きます。[ゾーンのプロパティ]ダイアログボックスでは、次の操作ができます。
通常のゾーンの[ゾーンのプロパティ]ダイアログボックスを次の図に示します。
図9.5 [ゾーンのプロパティ]ダイアログボックス
逆引き参照ゾーンの[ゾーンのプロパティ]ダイアログボックスでは、[WINS参照]タブの名称が次の図に示すように[WINSの逆引き参照]に変化します。
図9.6 逆引き参照ゾーンの[ゾーンのプロパティ]ダイアログボックス
すべてのDNS資源レコードはDNSマネージャを使って作成し編集できるので、DNSマネージャでローカルおよびリモートのDNSサーバーにデータを簡単に追加できます。ゾーンの作成終了後、ゾーンを選択して右クリックすると次のメニューが表示され、そのゾーンに対して実行可能な操作が表示されます。メニューを次の図に示します。
図9.7 ゾーンメニュー
ゾーンに含まれるコンピュータの情報を追加する場合に選択するメニューは[新しいホスト]と[新しいレコード]の2つです。
ゾーン内のDHCPまたはWINS対応でないコンピュータに、AレコードおよびPTRレコードを追加するには、[新しいホスト]オプションを使うのが便利です。[新しいホスト]ダイアログボックスを次の図に示します。
図9.8 [新しいホスト]ダイアログボックス
コンピュータに関する別のDNS情報、たとえばエイリアス(CNAME)やメールサーバーを追加する場合は、[新しい資源レコード]を使うのが便利です(作成可能な資源レコードの種類と内容については、表9.2を参照してください)。
[新しい資源レコード]ダイアログボックスの例を次の図に示します。
図9.9 [新しい資源レコード]ダイアログボックス
注 別のDNSサーバーの資源レコードをDNSデータベースファイルで利用することができます。この項目については、後述の「9.6 DNSサーバーのトラブルシューティング」の「別のDNSサーバーからのデータファイル移植」を参照してください。
ゾーン転送が必要となる頻度は、ドメインの内部で名前とIPアドレスのマッピング情報の変更がどの程度の頻度で発生するかによります。必要のないゾーン転送はネットワークとサーバーに不要の負荷をかけることに留意してください。
ゾーン転送とは要するにファイルをコピーする手続きに過ぎません。ゾーンデータに何らかの変更が発生した場合にプライマリ(つまりマスタ)からセカンダリにその旨が「通知され」、そのたびにプライマリからセカンダリにデータベースの全内容がコピーされます。
[ゾーンのプロパティ]ダイアログボックスに含まれる[SOAレコード]と[通知]タブを使って、ゾーン転送を開始し要求するのに必要な情報で、プライマリとセカンダリのゾーンを構成します。[SOAレコード]タブを使ってゾーン転送タイマーのデフォルト値を変更することができます。次の項目の値を変更すると、それぞれゾーン転送に影響します。
[SOAレコード]タブの例を次の図に示します。
図9.10 [SOAレコード]タブ
プライマリゾーンの場合は、[ゾーンのプロパティ]ダイアログボックスの[通知]タブを使って、ゾーン転送用に通知すべきセカンダリゾーンを識別します。[通知]タブの例を次の図に示します。
図9.11 [通知]タブ