今日の恭麿
HIEDA NET Corpration
 > これは変だよ  > 切戻しを考えないとね


 

複数の別な班の方々が、某ネットワーク機器を検証している。このお盆休みを利用して長期稼動安定度確認試験をするという。

以前より使用しているファームウェアより新しいファームウェアと、新しいファームをインストールした機器が届いた。新しいファームで長期稼動安定度確認試験をするというので、彼らは以前のバージョンが入っている機器においてもバージョンアップをした。まだ動作を確認する前に。

その結果、全ての機器で接続できないという現象が発生、ファームを元に戻す作業が生じた。結果ネットワーク接続が出来るようになったが、そのため、10数人が4時間程度残業した。

先に進むにも、元の状態に戻すにしても、いずれか早いほうでもあと5時間はかかるという作業を想定する。切戻しという考え方がある。どのような時に使用するかというと、

  1. ユーザーが使用していない時間、夜の21時に、サーバーやネットワーク機器の設定変更や機能追加作業を開始する
  2. 何らかのトラブルに見舞われたりして作業が進まないときに、(例えば)午前3時に前日の21時以前の状態に戻す
というときに、切戻しという言葉を使用する。この場合、
 「1時間で解決できる」
と現場作業員が判断しても、朝8時には、
  • 今回の作業を終えているか
  • 前日の21時以前の状態に戻しておくか
どちらかなので、例え「1時間で解決できる」と現場の作業員が申告しても、
 「朝、9時の始業に間に合わない。」
ので、
  • 前日の21時以前の状態に戻しておく
ということをする。切戻しである。

7月から実務経験があると言われている通信建設業界の方々がたくさん来た。だからといって、以前からの方がいなくなったわけではなく、まだまだいらっしゃる。いずれの方も、CCxxとか取得していて、ここで働いているようだ。どなたが音頭をとって今回の作業をしたのか知らない。だがCCxxはいいのだが、今回の一件で切戻しとは言わないまでも、作業に保険をかけるということを知らない・経験していないということはわかった。

残業して、通信できるようになって、
 「いや〜、まさか、新しいファームがサービスデグレしているとは思いませんでしたね。全ての機器で新しいファームをインストールしちゃって、それを元に戻して、今回は疲れちゃいましたね。それでは明日から夏休み。お疲れ様でした〜。」
程度の話をして解散したのかどうか判らぬが、これって、おかしいよね?

実務ではユーザーの業務に支障を与えないということ、を考慮する。これを経験、もしくは、考慮している方が今回の作業に参加していれば、十数人が残業して(防げたはずの) コストを発生させたということは起こらなかったと思う。

今回、

  • 新しいファームウェアのインストールされた機器でまず、新しいファームウェアがまともに動作する事
を確認せずに、以前からある機器を含め全ての機器でもバージョンアップしたことがまずいのだ。

結果としてつながるようになったんだからOKか?というと、最悪ではないにしろ防げたはずのコストを発生させたという点では、ビジネスマンとしてはとても合格点はやれないぞ!である。

もっとも、こんなことを書くと、
 「あなたは私の上司でも雇用主でもないのだから、合格とか評価出来ないはず!うるさいこといわんといて!」
という反発があるだろう。しかし、どこの企業に属しているかではなく、同じ職場にいるということは、経済的に、

  • (利用者であるエンドユーザーの)お客様の利用料金がわれわれのギャラの原資になっている
  • あなたの働き方が、(利用者であるエンドユーザーの)お客様へのサービス提供価格・商品価格に影響する
  • (われわれにお仕事を提供している)お客様が立ち行かなくなると、われわれの生活も成り立たなくなる
という構造が理解できれば、あなた方が発生させた防げたはずのコストが、作業に参加していない方々の生活にも影響していることが判るはずである。

われわれはある見方では運命共同体なのだ。けして、
 「俺が残業しても、あんたが残業するわけではないのだから、あんたに関係ないだろう?。」
ということはないのだ。

最終更新日 13 AUG 2004


 

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